第23回やすらぎ音楽祭 グランプリ 松下電器産業労組賞 最優秀作曲賞受賞

二歳の春
作詩曲 sai 編曲SSW

真っ白な肌をさらけ出して 横たわる小さなお前の

吐息を何度も確認して また眠りに就く長い夜

幾つものチューブに繋がれて 心音を伝えるモニターが

ときどき鳴り響くそのたびに また飛び起きては胸に手をあてる

何時間も意識を失って 呼吸が止まったと知ったとき

土色になり硬くなり 動かないお前を見て崩れ落ちた

  もう二度と 目を開けないんじゃないかと

  思ったら 怖くて震えた

  もう二度と 小さなこの手は動かないんじゃないかと

  思ったら 立ちあがれなかった

まだ歩き出していない まだ笑い始めたばかり

まだ美味しいもの食べていない まだお友達も少ない

まだ遊び足りない まだ愛したりない

まだ抱きしめたりない まだ二年しか生きていない



うっすらと目を開けた真夜中に お前は苦しげに喘いで

人工呼吸器を吐き出した 真っ赤な鮮血とともに吐き出した

奥に詰まったものを吸引したあと 白いタオルで綺麗に拭かれ

酸素マスクに切り替えながら もう大丈夫だと医者は言った

だけどぐったりと力ない お前の頬を両手で包んで

何度も名前を呼ぶけれど うつろなお前は答えられなかった

  もう二度と 笑わないんじゃないかと

  思ったら 哀しくて哀しくて

  邪なものよ去れと 邪悪なものよ立ち去れと

  心で 叫びつづけた

まだ青い海を見ていない まだ野原の風を知らない

まだ雪だるまを作ってない まだ花冠をかぶってない

まだ遊び足りない まだ愛したりない

まだ抱きしめたりない まだ二年しか生きていない

だから がんばれ  だから がんばれ・・・